●灸頭鍼(きゅうとうしん)
この治療法は刺した鍼の上に、もぐさ(艾)を丸めたものを付けてお灸していくものです。
写真の様に背中の内臓に直接的に効くツボに行えば、
深い慢性疲労を回復させてとてもリラックスします。
ひなたぼっこしている様な温かさが独特です。
またこれは、慢性的な症状のしつこく深い部分のコリにとても有効です。
その様なコリのある例としては、
・肉離れや捻挫して何か月も経つのに硬さや痛みが残る。
・骨折や脱臼が治った後でも、周りの筋肉などが硬くて動きが悪いまま。
・ケガではないけど、スポーツや仕事などで繰り返し使う部分が硬くなり痛む。
などがあります。
この様な“深いコリ”をマッサージや指圧などでほぐそうと思うと
かなり時間もかかる上、どうしても“ある程度の力を繰り返し加える”
ことになるので、かえって痛くなってしまう事もよくあります。
この様な例としては、リハビリなどで痛い思いをされた方も
おられるのではないでしょうか。
まだ回復しきっていない弱い状態のところを無理に(痛みを我慢してまで)
引っ張ってしまうことは、筋肉の方が「やめてくれ!!」と
余計に硬くなることがあります(筋性防御と言われます)。
そのため初期のリハビリでは、硬い筋肉をやさしくほぐして
柔らかくしていく事がポイントです
(私自身もプロの格闘技選手時代に膝や肩の靱帯損傷をした時、
この灸頭鍼で早く回復できました)。
これらの症状に対し、マッサージや指圧などでは絶対に手の届かない
深い部分にある、傷ついた筋肉や靱帯にまで鍼が届いて直接作用します。
靱帯が完全に切れてしまっていたり、骨に異常が無い場合であれば、
こちらの方法がかなり効果を表します
(靱帯断裂などの手術後の筋肉の硬さにも灸頭鍼がよく効きます)。
また、深い部分の血行をよくすると言う作用が、“婦人科系”の症状にも適しています。
月経が不順で、体の外に捨てられるべき血がしっかり排泄できていないと、
それは体内に残る“古い血”となり気血の循環をさまたげ、
頭痛、生理痛、便秘、しつこい肩や首のコリ、腰の痛み、冷えやのぼせ、
イライラなど様々な症状を引き起こす原因にもなります。
この古い血を東洋医学では「瘀血」(おけつ)と呼ばれます。
古い血の排泄を上手にすれば、新しい血液が作られやすくなり、
体内のすみずみまで栄養と酸素が充分に行きわたる様になります。
●知熱灸(ちねつきゅう)
昔のお灸のイメージと違って、肌に直接火が触れない
「温灸」
と言う種類のものです。
このお灸は、比較的表面のコリや「筋肉の張り」、「むくみ」などに使います。
また、熱で熱を発散させて結果として冷やすため、
「関節炎」などに効果があり、運動選手やダンサーなどの
「筋肉痛」などにも役立っています。
高さ・直径がともに1cmほどのお灸を使います。
お灸の熱で、ひふの下に停滞した熱や水分を発散させます。
お灸が合わないと言われる「高血圧」の方にも、
熱を発散して自律神経をリラックスさせるのでよく合うことが多いです。
ちょっと熱く感じるまで我慢してもらいますが、
熱く感じたらすぐに取ってしまいます。
終わった後は、風呂上がりの様なさっぱりした感覚が特徴的です。